第20回記念 農薬製剤・施用法シンポジウム
―新世紀の植物保護に向けて―

日時:平成12年11月9日〜10日
場所:徳島県徳島市(徳島プリンスホテル)
主催:日本農薬学会 農薬製剤・施用法研究会
協賛:農業機械学会,雑草学会,粉体工学会,日本化学会,高分子学会,色材協会,日本油化学会,日本液体微粒化学会

 今回のシンポジウムは徳島県徳島市の県庁隣のホテルで開催された.参加者は224名であった.その中で海外からの参加者は15名で,韓国9名,米国4名,フランス1名,オーストラリア1名であった.
 昨年同様,シンポジウムは特別講演,技術研究発表,フォーラム,ポスターセッションの4部構成で運営された.
 特別講演では,まず「新世紀に向けての農薬製剤の展望」との演題で,農薬製剤・施用法研究会の委員長である辻孝三氏より農業全体をとりまく現状と将来,今後農薬製剤に望まれる事について講演を頂いた.次いでJA全農 営農・技術センターの園田正則氏に「新世紀に向けての農薬散布技術の展望」との演題で,国内での農薬製剤・施用技術の現状と今後望まれる液剤少量散布技術について講演を頂いた.3題目はASTM副委員長であるCromptonのJames L. Hazen氏に“Trends in North American Agricultural Formulation"との演題で活性剤メーカーの立場からみた北米における農薬製剤の現状と今後の傾向について講演を頂いた.最後に徳島県営農振興課の金磯泰雄氏に「四国における野菜病害の実用的防除」との演題で,徳島県の特産物であるサツマイモやレンコンの病害とその防除法の現状,これからの防除の方向性について講演を頂いた.
 フォーラムでは,以下に示す4件の国際学会参加報告が行われた.
 「FAO/CIPAC Meeting参加報告」 徳満政弘(三井化学)
 「フォーミュレーション フォーラム2000参加報告」 釜谷拓和(日産化学工業)
 「アメリカ化学会第220回大会 参加報告」 辻 孝三(製剤技研)
 「第21回ASTMシンポジウム 参加報告」 辻 孝三(製剤技研)
 技術研究発表の部では散布作業,製剤特性と散布性,製剤化,界面活性剤の作用と評価,アジュバント等に関する9件の発表があった.特別講演が4題と例年よりも多かったので,技術発表の時間が充分には取れず,一部ポスターセッションに回って頂いた.
 ポスターセッションの部では製剤技術,製剤機械,アジュバント,副資材,包装,試験器,溶出等の発表があり,企業の宣伝を兼ねたもののほか大学等からのアカデミックな技術発表を含めて15件の発表が行われてバランスの良いものになった(発表題目は表の通り).

 今回のシンポジウムは20世紀最後の第20回記念のシンポジウムということで,「新世紀の植物保護に向けて」というテーマのもとに,そのテーマにふさわしい発表が特別講演を中心になされ熱心な議論が行われた.近年ますます農薬の効果の向上のほかに,安全性,省力化,環境への負担軽減が求められている中,研究開発に関与する人たちがそれぞれの分野で新世紀の植物保護に向けて真摯に取り組んでいる姿が垣間みられた.
 本シンポジウムを盛会裡に終えることができましたのは,ご多忙中にもかかわらず,特別講演をお引き受け頂きました諸先生方をはじめ,フォーラム,口頭またはポスターで技術研究発表をして頂いた多くの方々のお陰と幹事一同深く感謝しております.また,シンポジウムの運営,その他でご協力頂きました多くの方々にも,この場をお借りして厚く御礼申し上げます.
 なお,次回のシンポジウムは箱根で平成13年11月1日〜2日に開催されることになっています.多数の方々の参加をお待ちしております.

(大塚化学(株)小田原 賢児)


技術研究発表

T1. 散布作業安全に関する共同試験のメモ
    守谷 茂雄(元農業技術研究所)
T2. 無人ヘリコプター用散粒機による水稲用除草剤散布特性の評価   
    ○内海 幹雄,大山 隆,斉田 実,瀧内 守(八洲化学工業 研究所),柳 真一(農林水産航空協会 農林航空技術センター)
T3. 微小粒子主薬のコーティングとその評価 
    西村 健彦,○寺下 敬次郎(大阪府立大学大学院工学研究科),坂本 浩(パウレック)
T4. 非イオン性界面活性剤水溶液の曇点におよぼす添加剤の影響
    趙 利,○佐藤 達雄(日本モンサント)
T5. 新規な省力型水面展開剤の製剤化検討
    ○藤田 茂樹,赤司 宗貴,櫻田 直巳,加藤 進(クミアイ化学工業 化学研究所)
T6. 製剤中におけるポリエーテル変性トリシロキサン展着剤の有用性 
    ○佐々木 久(日本ユニカー),Robert A . Ness(Crompton Corporation)
T7. 環境負荷低減に向けたアジュバントの提案-GERONOL CF/AR…environmentally safest! -
    島田 昌和(ローディア日華 応用開発研究部)
T8. 茎葉散布農薬の葉面付着と吸収・移行に関与するアジュバントの作用性と分類 
    ○渡部 忠一(アグロカネショウ 研究所),山口 勇(理化学研究所)
T9. Waxes, a New Group of Adjuvants for Tank Mix and Built in Applications
    FranzLeo Heinrichs(BU Addition/Wax R&D Dept., Clariant GmbH)


ポスターセッション

P1. 押出造粒による造粒物の調製と打錠 
    森田 貴之,○寺下 敬次郎(大阪府立大学大学院 工学研究科)
P2. ワックスの農薬への効果について 
    長沢 博(クラリアントジャパン 顔料・添加剤事業部)
P3. 遠心転動造粒コーティング装置「グラニュレックス」 
    ○武井 成通,鵜野沢 一臣,吉岡 浩一(フロイント産業)
P4. 農薬担体用としての使用済み陶磁器型材用石膏型粉砕品について 
    渡辺 政美(サンエス石膏 技術研究所)
P5. 新型湿式粉砕機ダイノーミルECMの粉砕効率(ECM大流量循環運転と利点) 
    ○新丸 和也,古吟 豊,下野 淳二(シンマルエンタープライゼス)
P6. 横型連続造粒機による農薬の造粒 リング状ダイスで小粒径・大量造粒が可能に
    川畑 啓治(大川原製作所 産機装置事業部)
P7. 育苗箱施薬粒剤の紙パック包装−育苗箱へ直接散布可能な紙パック容器の最適化−
    ○高鳥 尚彦,佐々木 義之,*東村 稔(日本農薬 総合研究所,*生産本部)
P8. 湿潤粉体の圧縮試験器 
    ○津張 正光,小泉 一郎,大迫 義文(不二パウダル開発部),綿野 哲(大阪府立大学 工学部 化学工学科)
P9. ゲルカプセルの合成と徐放材料への応用 
    ○飯澤 孝司,菅野 聡美(広島大学工学部 化学工学教室)
P10. 練り込み粒剤からの有効成分溶出に係わる要因ー水溶解度等ー 
    鎌田 康裕(アベンティス クロップサイエンス ジャパン 研究部)
P11. 湿式微粉砕機LMZ,LMK,ラボスターによる微細化 
    竹内 信治(アシザワ 営業部)
P12. Use of Vinyl Pyrrolidone Homo/Copolymers in Combination with Polyacids (Methyl Vinyl Ether Maleic Acid Copolymers) for Sustained Release of Bioactive Molecules. 
    ○Kolazi S. Narayanan, Yoon T. Kwak, N. Nerella (International Specialty Products, USA) , Hee-Dong Lee (Department of Agriculture, Government of South Korea)
P13. 超音波を用いたマイクロカプセルの調製 
    ○牧野 公子,溝呂木 太郎,大島 広行(東京理科大学 薬学部),安藤 静敏,塚本 桓世(東京理科大学 理学部)
P14. 農薬製剤における自動粒度管理-Parsum社製インライン粒度分析装置組込みによる品質向上−  
    ○山口 雅嗣,高原 敏之(日本ボールバルブ 大阪営業課)
P15. 粉砕・造粒とコーティング技術
    三島 重信(セイシン企業 響灘工場)



日本農薬学会

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