会長メッセージ |
日本農薬学会 会長 梅津 憲治
日本農薬学会の会員の皆様、日頃、学会の活動にご支援、ご指導を賜り感謝申し上げます。ご承知の通り、第5回IUPAC国際農薬化学会議の日本誘致を契機に、わが国の農薬科学の発展を目指し1975年に設立された当学会は、本年(2005年)に設立30周年を迎えました。この30年間に当学会は日本のみならず世界の農薬科学の進歩に重要な役割を担って参りましたが、この間に農薬科学と当学会を取り巻く環境は大きく変化いたしました。
このような認識のもと、当学会は2001年より3ヵ年にわたり「21世紀記念事業」を挙行いたしました。「わが国における農薬創製の歴史の総括」、「21世紀のあるべき農薬の姿の探求」ならびに「農薬の環境影響の科学的観点からの検証と環境に配慮した農薬」に関する記念出版(3冊)、農薬科学のレベルアップと国際化を目指した国際学術交流に関する各種イベント、および消費者、農業生産者、農薬普及・販売担当者等を対象とした「シンポジウム・市民講座−農薬と環境と安全性−」の開催が3本柱です。これらの21世紀記念事業の理念と各イベント内容は、正に当学会の活動に関する今後の方向付けを示すものです。すなわち、当学会は、今後も「わが国の農薬科学の発展に向けた諸活動」と、農薬の有する社会的存在意義に立脚した「農薬の役割や安全性について広く社会に知っていただく活動」とを両輪とした施策を進めて参ります。
わが国の農薬科学は今や世界の新規農薬候補化合物の多くを生み出すまでに発展してきました。農薬科学を総合的に取り扱う当学会は、世界の農薬研究のメッカとして今後も重要な役割を果たすべく、学会誌の充実とレベルアップおよび国際会議の開催などを通じた国内の研究者の量的、質的レベルの向上を図るための各種施策を実施したいと思います。2006年に当学会の主催で神戸において開催される第11回IUPAC国際農薬化学会議を成功させるべく尽力いたします。また、農薬の安全性に関する市民講座、残留分析セミナー、環境影響セミナーなどの活動も継続的に実施して参ります。
このような当学会の活動を進めるにあたり、その中心に位置付けられる年次大会(学術集会)、各種セミナー、国際会議の主催、学会誌の発行、ホームページによる広報活動とともに、小集会活動が極めて重要です。農薬残留分析、農薬製剤・施用法、農薬環境科学、農薬生物活性、農薬デザイン、農薬レギュラトリーサイエンス、農薬バイオサイエンスの各研究会の活動は、学会活動の裾野を広げる観点から、また農薬科学を深化させる意味においても今後益々充実して行きたいと思います。
人類の生存に不可欠な食糧生産、作物生産に不可欠な農薬を総合的に取り扱う農薬科学と日本農薬学会の活動の発展に向け、会員の皆様の益々のご尽力と、ご支援、ご協力を切にお願い申し上げます。