日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文24巻1号

分子Simi1arity 解析によるネオニコチノイド系殺虫剤の三次元構造活性相関

助川正之,中山 章

日本農薬学会誌 24, 38-43 (1999)

新しい分子similarity解析の手法をネオニコチノイド系殺虫剤の三次元構造活性相関に応用した.三次元空間こおける二つの分子の静電ポテンシャル及び立体的形状をベクトルで表し,それぞれの内積を分子の静電的及び立体的類似性を表す指数(similarity index)として定義した.種々の構造をもつ12のネオニコチノイド系殺虫剤についてsimilarity indexを算出し,これらの分子相互の類似性を表すsimilarity行列を得た.各化合物のニコチン性アセチルコリンレセプターへの結合親和性(pKi)を生物活性の指標とし,pKiとsimilarity行列との関係をpartial least squares (PLS)法で解析した.その結果,一連の化合物全ての間の分子Similarityに基づく有意な相関式が得られ,静電的及び立体的な類似性がネオニコチノイド系殺虫剤の活性の強さにとって重要な因子であることが示された.また,活性に寄与する静電的及び立体的性質を三次元空間に表示することにより,活性発現のための構造条件を視覚的に把握することができた.


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