日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文24巻2号

ピリミジフェンの毒性試験の概要



日本農薬学会誌 24, 241-244 (1999)

ピリミジフェンの安全性評価のために各種毒性試験を実施した.
 ピリミジフェン原体の急性経口毒性は,ラット,マウスとも劇物相当であったが,製剤での毒性は弱く,両種とも普通物に相当した.急性経皮毒性は,原体,製剤とも低かった.眼粘膜一次刺激性については,一過性の軽度の刺激性が認められたが,2〜3日後には正常に回復した.皮膚一次刺激性については,原体,製剤で刺激性は全く認められず,また,皮膚感作性についても原体,製剤共に陰性であった.マウス,ラットおよびイヌでの亜急性毒性,慢性毒性及び発癌性試験で,高濃度投与群で飼料摂取量の低下や体重の増加抑制などが認められ,イヌでは水様便,嘔吐などの頻度が増加した.しかしながら,ピリミジフェン投与に起因する腫瘍性病変の発現はなかった.また,各種変異原性試験においても陰性であった.繁殖や次世代に対する悪影響や催奇形性は認められなかった.
 本剤は,1995年以降,リンゴ,ミカン,ナシなどの果樹やチャのハダニ類,及びキャベツのコナガ等に対して登録を取得している.
 ピリミジフェンは定められた使用基準を遵守すれば,安全性が高い薬剤であり,農業資材の一つとして有用であると考えられる.


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