日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文24巻2号

イマザキン及びそのアンモニウム塩の毒性試験の概要



日本農薬学会誌 24, 245-249 (1999)

イマザキン及びそのアンモニウム塩(商品名トーンナップ液剤)はアメリカン・サイアナミッド社が開発したイミダゾリノン系化合物の一種であり,植物に特有な必須アミノ酸の生合成(AHAS)を阻害することにより除草効果を発揮する.本成分は広範囲の一年生雑草および多年生カヤツリグサ科雑草に茎葉兼土壌処理により優れた効果をあらわし,芝草用除草剤として登録され,普及されている.各種毒性試験の結果,イマザキン及びそのアンモニウム塩は低毒性であることが確認されている.急性経口,経皮,吸入毒性試験においてこれらの毒性は非常に低く,普通物相当であった.刺激性についても,ウサギの皮膚に対しては軽度な刺激を示したものの,眼に対する刺激性はなく,皮膚感作性も認められなかった.ラットを用いた13週間投与による亜急性経口毒性試験では,5000ppm投与群の雌のみに肝臓ならびに腎臓の絶対重量の低下がみられたが,その他のいずれの群ではいかなる異常も認められず,本試験における最大無作用量は試験実施最高用量である1,000ppmであると判断された.催奇形性,変異原性は認められず,薬理試験においても顕著な毒性作用はみられなかった.以上の結果より,イマザキン及びそのアンモニウム塩はその使用方法,使用上の注意事項を厳守することにより,人畜に対して影響の少ない薬剤であるものと考えられる.


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