日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文24巻3号

殺菌剤メパニピリムの土壌吸着とその機構

永井雄太郎,榛葉香代子,遊佐義男,箭木 昭

日本農薬学会誌 24, 280-286 (1999)

14C標識メパニピリムを用い,その土壌吸着性および吸着特性を5種類の畑土壌について調べた.3段階の濃度で実施した吸脱着試験の結果,メパニピリムの土壌吸着はフロイントリッヒの吸着等温式によく適合した.吸着係数Kfは12.9から427であり,1/nはすべての土壌で1より小さかった.また,Kfを有機炭素含量で割り算出したKf,ocは,1090から5210であった.脱着においてヒステリシスが認められた.メパニピリムの吸着はpH依存性であり,pHの低下に伴い増加し,pKa(2.9)付近で最大となった.このpH依存性には,プロトネーションしたメパニピリムと土壌コロイドの負電荷との間のイオン結合が関与していると推察された.過酸化水素により土壌有機物を分解すると,全ての土壌でKf値が減少した.pKa以上のpHにおいて,過酸化水素処理した土壌への吸着も,pHの低下にともない増加した


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