日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文24巻4号

キンクロラック処理トウモロコシ葉片におけるエチレン生成量に及ぼす温度の影響

春原由香里,松本 宏,池田浩明,野間 豊

日本農薬学会誌 24, 375-380 (1999)

著者らは,キンクロラック処理後のトウモロコシ葉片でのエチレン生成は,他のオーキシン剤とは異なり,光照射により著しく促進されることを明らかにしてきたが,本研究では,さらにキンクロラック処理によるエチレン生成の詳細を明らかにする目的で,本剤処理後のエチレン生成量に及ぼす温度の影響について検討した.その結果,薬剤処理後の温度だけでなく薬剤処理前の生育温度もキンクロラックによるエチレン生成量に大きく影響することが示された.さらに,薬剤処理後に温度を低下(30℃から20℃)させた場合,キンクロラックによるエチレン生成は積算温度に依存した量的な減少とクロロシスの抑制が見られた.また,薬剤処理中に温度を上昇(20℃から30℃)させた場合には,積算温度から推定される値以上の急激なエチレン量の増大が起こった.このことから急激な温度上昇は,キンクロラックによって誘導されるエチレン生合成系酵素量自体の増加を引き起こす可能性が示唆された.


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