日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文24巻4号

水田土壤中における窒素循環に関わる土壤微生物活性の自然変動:土壤生態系に及ぼす農薬の影響評価に向けて

岡本悠子,巣山弘介,井藤和人,板持美保,賀川泰弘,梶原真二,生嶋隆博,宮本ひとみ,山本広基

日本農薬学会誌 24, 386-392 (1999)

土壤生態系に及ぼす農薬の影響は,環境要因による微生物の数や活性の変動幅との比較の上で評価する必要がある.このような観点から,島根県松江市近郊にある近接した肥培管理の異なる2水田を対象に,1997年5月から1998年12月までの20か月間にわたって,土壌中の窒素循環に関わる微生物活性の自然変動を調査した.2作期を通じた硝化活性,アンモニア化成活性,プロテアーゼ活性およびアンモニア酸化細菌数の変動係数(CV)は,それぞれ16〜20,39〜53,31〜62および88〜174%であった.これらの値は肥培管理の違いにかかわらず同程度であり,室内試験や短期の圃場試験の結果から土壌微生物に対する農薬の影響を評価する際に参照されるべきであろう.


Back