日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文26巻1号

Selective Solubilization of Tomato Fruit Epicuticular Wax Constituents by Triton X-100 Surfactant
界面活性剤Triton X-100によるトマト果実由来エピクチクラワックス成分の選択的可溶化


Hiroto TAMURA, Moritz KNOCHE, Yoshiyuki HAYASHI, Martin J. BUKOVAC
田村廣人,Moritz Knoche,林 幸之,Martin J. Bukovac


日本農薬学会誌 26, 16-20 (2001)

農薬製剤に含まれる界面活性剤Triton X-100のトマト果実由来エピクチクラワックス成分の可溶化機構について再構成モデル系を用いて検討した.Triton X-100は,エピクチクラワックス成分のうち不飽和炭化水素のhexacosene,tritriacontadieneおよびテルペン類のα,β-amyrinを臨界ミセル濃度以上で選択的に可溶化した.一方,飽和炭化水素成分は,使用したいずれの濃度でもトレース量かまたは検出されなかった.このTriton X-100による選択的可溶化現象は,エピクチクラワックス成分のlog P値では説明できなかった.
 従って,この可溶化には,ミセルとエピクチクラワックス成分との電子的相互作用,van der Waals力および分子自体のコンフォメーション等の他の要因の関与が推測された.さらに,界面活性剤によるエピクチクラワックスの可溶化は,農薬の茎葉吸収機構の一因である可能性のあることが示唆された.


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