日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文26巻1号

Metabolism of Herbicides and Other Chemicals in Human Cytochrome P450 Species and in Transgenic Potato Plants Co-Expressing Human CYP1A1, CYP2B6 and CYP2C19
ヒトチトクロームP450分子種およびヒトCYP1A1,CYP2B6,CYP2C19を同時発現したトランスジェニックバレイショにおける除草剤およびその他化合物の代謝


Hideyuki INUI, Noriaki SHIOTA, Yukiko MOTOI, Yoshiko IDO, Tomomi INOUE, Takuya KODAMA, Yasunobu OHKAWA, Hideo OHKAWA
乾 秀之,塩田憲明,本射由季子,井戸由子,井上友美,児玉卓也,大川安信,大川秀郎


日本農薬学会誌 26, 28-40 (2001)

構造と作用機構の異なる50種の除草剤とその他7種の化学物質の代謝を11種のヒトP450分子種をそれぞれ発現した酵母ミクロソーム画分を用いて試みた.その結果,27種の除草剤と6種の化学物質がCYP1A1,CYP1A2,CYP2B6,CYP2C9,CYP2C18,CYP2C19,CYP2D6,CYP3A4により代謝されることが判明した.その中でも,27種の除草剤と6種の化学物質の代謝物の構造が推定され,アトラジン,クロロトルロン,ピリブチカルブ,シマジン,シメトリン,フェニトロチオン,メトキシクロールは代謝物の一部が同定された.これらの結果をもとに,除草剤代謝に重要な役割を果たしている3種のP450分子種CYP1A1,CYP2B6,CYP2C19をバレイショに発現することを試みた.その結果,トランスジェニックバレイショT1977は14Cラベルしたクロロトルロン,アトラジン,ピリブチカルブ,メトキシクロールを速やかに水溶性の高い代謝物に代謝することが判明した.このような植物は,除草剤に耐性を示すだけでなく,低農薬残留性作物,残留農薬の環境浄化に有効であると考えられる.


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