日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文26巻2号

Synthesis of Antifungal 2-Anilino-4-phenylthiazoles and Their Inhibitory Activities on Sterol Biosynthesis
抗菌活性を有する2-アニリノ-4-フェニルチアゾールの合成およびそのステロール生合成阻害活性


Izumi KUMITA, Kaoru NODA
汲田 泉,野田 薫


日本農薬学会誌 26, 136-142 (2001)

我々は先に,T. mentagrophytesB. cinereraに対して高い抗菌活性を示すと同時に,それに対応した強いスクワレンエポキシダーゼ阻害活性を示す3-(2,6-ジクロルフェニル)-5-フェニルアミノ-1,2,4-チアジアゾール類を見出した.スクワレンエポキシダーゼ阻害剤は二つの疎水性ドメインと,それらをつなぐスペーサーからなるというNussbaumerらのモデルを参考にして,スぺーサー部分の構造要件を探るために,チアジアゾール環をチアゾール環に変換した化合物を合成した.それらの化合物の多くはin vitroにおいてT. mentagrophytesB. cinereraに対して比較的高い抗菌活性を示し,[2-14C]酢酸の取込によるスクワレンの蓄積量は,抗菌活性と良く相関した.最も高い抗菌活性を示した化合物は2-(4-クロロフェニルアミノ)-4-(2,6-ジクロロフェニル)チアゾール(5)であり,医用抗真菌剤として知られるトルナフテートにまさった.また,Saccharomyces cerevisiaeの無細胞系におけるメバロン酸からのステロール生合成アッセイにおいても,化合物(5)は顕著なスクワレンの蓄積を示した.これらのことにより,化合物の第一の作用点はスクワレンエポキシダーゼであると思われる.


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