日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文27巻1号

Effects of Enantiomers of Inabenfide [4'-Chloro-2'-(α-hydroxybenzyl)isonicotinanilide] on Growth, Lodging and Yield Components of Rice (Oryza sativa)
イナベンフィドの鏡像異性体がイネの生長,倒伏および収量構成要素におよぼす影響


Masanori FUKAZAWA, Yoshikazu KUMAGAI, Takuma MIKI, Keirou ISHIHARA, Machiko HARA, Norio SHIRAKAWA
深澤正徳,熊谷良和,三木卓磨,石原圭朗,原真智子,白川憲夫


日本農薬学会誌 27, 17-23 (2002)

植物成長調節剤イナベンフィドの鏡像異性体S-体およびR-体のイネに対する成長調節作用を比較した.ポットおよび圃場試験において,生育中期(分蘖期)処理による稈長抑制作用はS-体が最も強く,ラセミ体の約2倍の効力を示したが,一穂籾数に対する抑制作用も大きかった.S-体(0.06 g/m2以上)の生育後期(穂ばらみ期)処理により,上位節間の短縮による稈長抑制作用および倒伏軽減作用が認められ,その効力はラセミ体(0.24 g/m2)の生育後期処理およびラセミ体(0.24 g/m2)の生育中期処理よりも大きかった.いずれの試験においてもR-体の稈長抑制作用はS-体ならびにラセミ体よりも著しく小さかった.イナベンフィドの活性本体はS-体であり,その生育後期処理により処理量の低減が可能であると考えられた.


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