日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文27巻2号

Fungicidal Activities of α-Methoxyphenylacetic Acid Derivatives
α-Methoxyphenylacetic acid誘導体の殺菌活性


Tsuneo ICHIBA, Takami MURASHI, Toshikazu OHTSUKA, Michio MASUKO
市場常男,村司孝己,大塚俊一,益子道生


日本農薬学会誌 27, 118-126 (2002)

種々の α‐置換フェニル酢酸誘導体を合成し,殺菌活性における構造と活性相関について調べた.2‐フェノキシ‐α‐置換フェニル酢酸誘導体には高活性の化合物を見出せなかったが,2‐フェノキシメチル‐α‐置換フェニル酢酸エステル誘導体ではフェノキシメチル基のベンゼン環の2位がメチル基または塩素原子で置換された化合物に幅広い活性スペクトラムが認められた.また同酢酸アミド誘導体では,ベンゼン環の2‐メチルまたは2‐塩素置換に高い活性が認められた.モノ‐置換体に比較し2,3‐,2,4‐,2,5‐ジメチル置換体および2,3,5‐トリメチル置換体の活性はさらに高く,スペクトラムも広かった.2,5‐ジメチル置換体の α‐置換基はメトキシ基,酢酸アミド部分はモノメチルアミド,2つのベンゼン環の架橋部はメチレンオキシ基が最も活性が高かった.本化合物はイネいもち病,コムギうどんこ病,キュウリうどんこ病および灰色かび病に高い予防および治療効果を示した.以上の結果より,ストロビルリン系殺菌剤の構造には必ずしも,sp2‐結合炭素またはsp2 様窒素による立体構造が必要ではないことがわかった.


Back