日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文27巻2号

Differential Inhibition of a Melanin Biosynthetic Enzyme Scytalone Dehydratase by Carpropamid, a Fungicide for Rice Blast Control, and Its Isomers
イネいもち病防除薬剤カルプロパミドとその異性体によるメラニン生合成酵素シタロン脱水酵素阻害


Takayuki MOTOYAMA, Shinzo KAGABU, Masashi MATSUOKA, Isamu YAMAGUCHI
本山高幸,利部伸三,松岡将資,山口 勇


日本農薬学会誌 27, 141-144 (2002)

イネいもち病防除剤カルプロパミドは4種類の異性体,KTU3616A (1R, 3S, 1'R),KTU3616B (1S, 3R, 1'R),KTU3615A (1S, 3R, 1'S),KTU3615B (1R, 3S, 1'S) からなる.我々は既にこれらの中のKTU3616Bが強力にシタロン脱水酵素を阻害する強結合阻害剤(tight-binding inhibitor)であることを示していた.カルプロパミドとその立体異性体のグループにはKTU3616A,KTU3616B,KTU3615A,KTU3615B以外に4種類のジアステレオマーが存在する.今回,KTU3616B以外の7種の異性体について阻害の強さを解析したところ,いずれもtight-binding inhibitorではないことが明らかとなった.これらの内の3種の異性体(KTU3616A,KTU3615A,KTU3615B)は,KTU3616Bに対して100倍程度あるいはそれ以上のKi 値を示した.すなわち強力な阻害作用を示すためには(1S,3R,1'R)の立体配置が必要なことが明らかとなった.


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