日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文29巻1号

Interruption of the Homing Events of Phytopathogenic Aphanomyces cochlioides Zoospores by Secondary Metabolites from Nonhost Amaranthus gangeticus
非宿主植物Amaranthus gangeticus由来二次代謝産物による植物病原性Aphanomyces cochlioides遊走子の宿主回帰過程の妨害


Md. Tofazzal Islam, Yasuyuki Hashidoko, Toshiaki Ito, Satoshi Tahara
Md. Tofazzal Islam,橋床泰之,伊藤利章,田原哲士


日本農薬学会誌 29, 6-14 (2004) [抄録/PDF]

非宿主植物がホウレンソウ根腐れ病菌A. cochlioides(卵菌)に対して防御物質を有するかどうかを検索した.ヒユ科植物のひとつAm. gangeticusの抽出物を塗布した担体を遊走子懸濁液に加えると,遊走子は誘引され,担体に近づくと急激に遊泳を停止し被嚢化した.被嚢化した胞子は未熟なまま再度遊走子に戻ったが,一部は成熟被嚢胞子となって発芽した.この現象はAm. gangeticusの芽生えや成体に含まれる2種類の化学物質,すなわち遊走子に誘引作用を示すN-trans-feruloyl-4-O-methyldopamine(1,担体法で1×10‐8 M以上)と,遊走子の遊泳を停止させ被嚢化の初期段階をへて,遊走子を再度遊出させる作用を示すnicotinamide(2,溶液法で5×10‐8 M以上)によって引き起こされることを明らかにした.両者を担体に塗布して遊走子懸濁液に添加すると,遊走子に対してAm. gangeticusの粗抽出液と同様の効果を与えた.これらの結果に併せて,親和性および非親和性のヒユ科植物芽生えを用いて,根への遊走子の回帰過程を可視化し,宿主および非宿主植物の化学成分との関係を論じた.


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