日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文29巻1号

Neral (the Alarm Pheromone) Biosynthesis via the Mevalonate Pathway, Evidenced by D-Glucose-1-13C Feeding in Carpoglyphus lactis and 13C Incorporation into Other Opisthonotal Gland Exudates
サトウダニへのグルコース‐1‐13C給餌試験でネラール(警報フェロモン)がメバロン酸経路の生合成産物であることとその他後胴体部腺分泌物に13Cが取り込まれることの証明


Atsushi Morita, Naoki Mori, Ritsuo Nishida, Nobuhiro Hirai, Yasumasa Kuwahara
森田 篤,森 直樹,西田律夫,平井伸博,桑原保正


日本農薬学会誌 29, 27-32 (2004) [抄録/PDF]

サトウダニは後胴体部腺分泌物として,警報フェロモンであるネラールを,トリデカン,(Z,Z)‐6,9‐ヘプタデカジエンとともに分泌する.グルコース‐1‐13Cを乾燥酵母に混合して投与すると,7日後には51.6%のネラールに13Cが1原子以上取り込まれた.30日間投与したダニを直接CDCl3で抽出し,そのまま13C-NMR分析すると,ネラールの2,4,5,6,8,9および10位に13Cが強化されていた.したがって,グルコース‐1‐13Cから解糖系を経て生成した2-13C-Acetyl-CoAからメバロン酸を経て生合成されると結論した.同様に分泌腺にみつかるAcetyl-CoA由来のトリデカンおよび(Z,Z)‐6,9‐ヘプタデカジエンには7日間でそれぞれ42.5%および51.8%,微量成分のγ‐アカリジアールおよび蟻酸ネリルにはそれぞれ39.5%および33.4%の13Cが取り込まれたが,スクワレンには取り込まれず,スクワレンが飼料の乾燥酵母から直接由来することを確認できた.


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