日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文31巻2号

Sex- and species-dependent difference of methoxychlor O-demethylation by rat and mouse liver microsomes
雌雄ラットおよびマウス肝ミクロゾームにおけるメトキシクロルの酸化的脱メチル化反応の比較

Kazutoshi Ohyama, Kiyoshi Sato, Yasuhiro Kato
大山和俊,佐藤 清,加藤保博

日本農薬学会誌 31, 102-109 (2006) [抄録/PDF]

メトキシクロル(MXC)のラット代謝における代謝物プロファイルの性差の解明を目的とし,雌雄ラットおよび比較のために雌雄マウスの肝ミクロゾームを用いてMXCおよびそのモノ脱メチル体((R)-および(S)-mono-OH-MXC)の酸化的O-脱メチル化の酵素反応速度解析を行った.Eadie-Hofstee解析ではMXCおよびmono-OH-MXCの脱メチル化反応は,それぞれ2および1酵素モデルに従った.キネティクパラメータの比較により,MXC代謝の性差は脱メチル化酵素の活性(固有クリアランス,CLintVmax/Km,により比較)の差によることが明らかとなった.すなわち,雄ラットではMXCの両方のメチル基が効率的に脱メチル化されジ脱メチル体(bis-OH-MXC)へと急速に代謝されるが,一方,雌ラットでは脱メチル化活性が雄に比べ低く,加えてこの反応によりさらに脱メチル化を受けにくい(S)-mono-OH-MXCを立体選択的に生成することから,(S)-mono-OH-MXCが主要代謝物の一つとして検出されると考えられた.また,マウスにおけるCLintの性差はラットと比較して僅かであり,脱メチル化反応に顕著な性差は認められなかった.


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