日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文31巻2号

A novel function of housefly glutathione S-transferase 6B -Its effect on the retention and increase of insecticidal activity of the insecticide prothiofos
イエバエグルタチオンS-転移酵素6Bの新規機能―殺虫剤プロチオホスの殺虫活性の保持と増大に与える効果

Masayuki Sue, Tsuyoshi Mikawa, Takashi Ueda, Youhei Nomoto, Toru Miyamoto
須恵雅之,箕川 剛,上田 尚,野本洋平,宮本 徹

日本農薬学会誌 31, 139-145 (2006) [抄録/PDF]

有機リン剤抵抗性八千代系,感受性高槻系イエバエからグルタチオンS-転移酵素(GST)分子種1,3,4,6A,6Bを得た.GST6A,6Bには90%以上の相同性が認められたが,脱アルキル代謝における機能には違いがあった.八千代系由来のGST6Aは脱エチル体を高槻系由来の6Aより多く生成し,O-アルキルリン酸エステル型有機リン剤の抵抗性発現を促す中心的役割を果たすことが示唆された.一方,八千代系由来の6Bは,高槻系由来の6Bとは違って,プロチオホスオキソンを予測ほど脱エチル化できず,結果的には抵抗性発現を抑制する方向に作用した.しかし,6Bのプロチオホスに対して演じる大きな役割は,プロチオホスオキソンの酸化生成物S-オキシドを分子種中で唯一脱エチル化することであり,殺虫力を有する脱エチルS-オキシドを与えてS-オキシドと共に新規な活性中間体を引き出すことにあった.


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