Technical problems and practical operations in plant metabolomics
植物メタボロミクスの技術的課題と実用的運用

Takeshi Bamba, Eiichiro Fukusaki
馬場健史，福崎英一郎

日本農薬学会誌 31, 300-304 (2006) [抄録/PDF]

ポストゲノムサイエンスにおいて，メタボロミクスはファンクショナルゲノミクスの有用なツールとみなされている．しかし，メタボロミクスは，多岐にわたる戦術単位から構成される学際領域研究であり，他のいわゆるオームサイエンスのように手法が一般化されていない．試料調製，分析，データ解析の各ステップは，すべてが実験誤差を発生する要素を含み，標準技術の確立が極めて困難である．実際にメタボロミクスを行うためには，各技術の特徴をよく理解し，それぞれのステップにおける課題，問題点を認識することが重要である．本稿では，植物メタボロミクス研究手法における技術的問題点を解説する．そのうえで，バイオサイエンスの基礎研究ならび応用研究分野の方々にメタボロミクスを正しく理解していただき，実際にメタボローム解析技術を上手に使いこなすためにはどの点に注意して研究をすすめるべきかについて認識して頂くことを目的とする．