日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文31巻3号

Aerobic metabolism and adsorption of pyrethroid insecticide imiprothrin in soil
ピレスロイド系殺虫剤イミプロトリンの土壌中挙動


Yusuke Suzuki, Jun Yoshimura, Toshiyuki Katagi
鈴木祐介,吉村 淳,片木敏行


日本農薬学会誌 31, 322-328 (2006) [抄録/PDF]

イミダゾリジニル環の5位を14Cで標識した家庭防疫用ピレスロイド系殺虫剤,イミプロトリン(IP)について好気条件下における土壌代謝試験を実施した.2種類の米国土壌中でIPは速やかに分解し,その消失半減期はcis体で3.3–12.5日,trans体で1.6–2.5日であった.主な分解経路は加水分解によるエステル結合の開裂およびイミダゾリジニル環の開環,さらにはカルバモイル基の脱離とそれに続く14CO2への無機化あるいはbound 14Cの形成であった.一方,IPの主要成分であるtrans体について,2種類の米国土壌に対する土壌吸着係数(KOC)をバッチ平衡法により求めたところ,376,428 ml/g o.c.であった.米国土壌中におけるIPの消失半減期とKOCの値を用い,水系初期スクリーニングモデルSCI-GROWにより算出した予想地下水濃度は0.039 μg/Lと低く,IPは土壌中において速やかに分解するため地下水汚染の可能性は低いと考えられた.


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