日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文32巻1号

Characterization of mRNAs encoding ethylene biosynthesis enzymes in the root holoparasitic plants Orobanche
ハマウツボ属全寄生性根寄生植物のエチレン生合成酵素をコードするmRNAの解析


Sarawut Rungmekarat, Mayumi Iino, Masanao Sato, Tsubasa Takahashi, Tomohide Natsuaki, Yasutomo Takeuchi, Koichi Yoneyama
Sarawut Rungmekarat,飯野真由美,佐藤正直,高橋 翼,夏秋知英,竹内安智,米山弘一


日本農薬学会誌 32, 24-31 (2007) [抄録/PDF]

光合成能を欠いた全寄生性のハマウツボ属根寄生植物であるOrobanche minorおよびO. ramosaから全RNAを抽出してcDNAを合成し,エチレン生合成酵素,すなわち,1-amino-1-cyclopropanecarboxylic acid(ACC)シンターゼおよびACCオキシダーゼをコードするcDNA断片を増幅して解析した.ACCシンターゼ(OmACS, OrACS)とACCオキシダーゼ(OmACO, OrACO)は他の植物の対応する酵素と相同性を示し,特に,半寄生性根寄生植物Striga hermonthicaのSHACS2およびSHACO1とそれぞれ最も高い相同性を示した.天然の発芽刺激物質である(1)-strigolで処理すると,O. ramosaではこれらのmRNAの発現量がわずかに増大したが,O. minorでは発現量の変動は認められなかった.すなわち,O. ramosaの発芽においてエチレン生合成が関与している可能性が示唆された.なお,O. ramosaでは,(1)-strigolによって誘導される発芽がエチレン作用阻害剤であるチオ硫酸銀(銀イオン)によって阻害されたが,その他のエチレン生合成および作用阻害剤は供試した濃度では影響を与えなかった.


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