日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文32巻2号

A novel mutant acetolactate synthase gene from rice cells, which confers resistance to ALS-inhibiting herbicides
ALS阻害型除草剤に対して抵抗性を付与するイネ培養細胞由来の新規変異型ALS遺伝子


Kiyoshi Kawai, Koichiro Kaku, Norihiko Izawa, Tsutomu Shimizu, Atsunori Fukuda, Yoshiyuki Tanaka
河合 清,角 康一郎,井沢典彦,清水 力,福田篤徳,田中喜之


日本農薬学会誌 32, 89-98 (2007) [抄録/PDF]

ALS阻害型除草剤の一つであるビスピリバックナトリウム塩(BS)と共存培養してBS抵抗性となったイネ培養細胞から2点変異をもつALS遺伝子を単離した.この遺伝子は548番目のトリプトファンがロイシン(W548L)へ,627番目のセリンがイソロイシン(S627I)へ変化する塩基置換を有していた.本遺伝子から発現したALSタンパク質はピリミジニルカルボキシ(PC)系,スルホニルウレア系,イミダゾリノン系のすべてのALS阻害型除草剤に対して抵抗性を示したが,特にPC系除草剤に対する抵抗性が強かった.野生型ALSを50%阻害する濃度の10,000倍の濃度でも,BSは本変異型ALSを阻害しなかった.2点変異型ALSのBSに対する抵抗性はそれぞれの1点変異型ALSの抵抗性から予想される抵抗性よりも強いものであった.また,2点変異型ALSを導入した組換えイネはBSに対して抵抗性を示した.これらの結果から,W548L/S627 2点変異型ALSはPC剤との組合せでイネ遺伝子組換えの選抜マーカー遺伝子として有効に使えると考えられた.


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