日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文32巻4号

Molecular physiology of crustacean and insect neuropeptides
甲殻類および昆虫類神経ペプチドの分子生理学


Joffre Mercier, Daniel Doucet, Arthur Retnakaran

日本農薬学会誌 32, 345-359 (2007) [抄録/PDF]

神経ペプチド生理学の現状を理解するためには,動物種の中で最も多数を占める甲殻類および昆虫類から始めるのが最適である.神経ペプチドはたいていの場合Gタンパク質共役型受容体によって認識され,神経ペプチド―受容体系は,例えば生殖,消化あるいは分泌に関連した物質の輸送を担う多くの体内の管の不随意運動を制御している.甲殻類や昆虫類が成長し変態を行うためには外骨格の定期的な脱皮が必要であり,それは神経ペプチドのカスケードによって制御されている.生物時計や行動など種々の生活事象も神経ペプチドにより制御されている.MALDI-TOF質量分析を駆使するペプチドミクスやゲノミクスのの技術的進歩と,コンピュータによる神経ペプチド―受容体遺伝子同定法の発展によって,これまでに膨大な種類の細胞外ペプチドによるシグナルシステムが解明されてきた.種類が膨大であることは,求心神経系と遠心的応答を行う器官との間の刺激伝達が一義的に行われており,短絡や逆方向の伝達はないことを示している.(文責:編集事務局)


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