日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文33巻1号

チアクロプリドのチアゾリジン部位の改変が殺虫・神経遮断活性に及ぼす影響およびネオニコチノイドの鍵ファーマコフォア考察のための定量的構造活性相関研究

Shinzo Kagabu, Keiichiro Nishimura, Yuji Naruse, Ikuya Ohno
利部伸三,西村勁一郎,成瀬有二,大野育也


日本農薬学会誌 33, 58-66 (2008) [抄録/PDF]

ネオニコチノイド系殺虫剤チアクロプリドのファーマコフォアであるシアノイミノチアゾリジン部位をイミダゾリジン,ピロリジン,あるいはオキサゾリジンのようなヘテロ環(以下中心環と呼ぶ)に変え,それらの6-chloro-3-pyridylmethylや5-chloro-3-thiazolylmethyl誘導体の,注射法によるワモンゴキブリに対する殺虫活性とゴキブリ神経軸索を用いた伝導遮断活性を測定した.試験したシアノイミン誘導体は,最小致死濃度が10 nM程度と高い殺虫活性を示した.しかし,概して相当するニトロメチレンやニトロイミン類似体には劣った.殺虫活性は共力剤の併用によって増大した.また,シアノイミン誘導体はマイクロモル濃度で神経遮断活性を示した.中心環がNCN, CHNO2や NNO2と共役した23種の構造改変体の定量的構造活性相関を解析したところ,神経遮断活性値はニトロ基酸素原子やシアノ基窒素原子のマリケン電荷値の大きさに比例し,またlog Pの最適値は1.19であった.殺虫活性と神経遮断活性との関係式から,他の因子が等しければ,両者は互いに比例関係にあることが示された.


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