日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文33巻2号

Antagonistic Gluconobacter sp. induces abnormal morphodifferentiation to Fusarium oxysporum f. sp. lycopersici hyphae
Fusarium oxysporumに拮抗性を示すGluconobacter属細菌はF. oxysporum f. sp. lycopersici菌糸に異常な形態分化を引き起こさせる


Albert Asante, Yasuyuki Hashidoko, Abhinandan Deora, Satoshi Tahara
Albert Asante,橋床泰之,Abhinandan Deora,田原哲士


日本農薬学会誌 33, 138-145 (2008) [抄録/PDF]

41種類の植物から分離した541株の根圏細菌について,Fusarium oxysporum f. sp. lycopersiciを被検菌とした対峙培養試験に供し,菌糸伸長阻害活性を持つものを検索した.供試菌株のうち4株のみ(陽性頻度0.7%)が強い菌糸伸長阻害活性を示し,その中でもヒメジョオン(キク科)から分離したGluconobacter属細菌71 F株が最も強い活性を示した.活性細菌株のフザリウム菌糸に対する特徴的な形態生理的効果として,菌糸側面からの過剰分岐と菌糸先端からの細胞内容物の漏出が認められた.拮抗細菌による伸長阻害を受けたフザリウム菌糸では,過剰分岐を起こしている細胞では核分裂自体が活性化する一方,細胞内容物が漏れだした菌糸先端部分の核に由来する蛍光は細胞内容物全体に均一に分散していくことが分かった.拮抗細菌に対峙した菌糸の先端部分は,核が崩壊することにより速やかに死滅した.


Back