日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文33巻3号

Unraveling the mystery of spinosad resistance in insects
昆虫におけるスピノサド抵抗性の謎


Jeffrey G. Scott

日本農薬学会誌 33, 221-227 (2008) [抄録/PDF]

スピノサドは細菌由来の殺虫剤で,多くの昆虫種に有効である.本化合物の一次作用点はニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)で,GABA受容体にも二次的に作用する.nAChRはαサブユニットを最低2個含んだ5個のサブユニットからなっており,各サブユニットはアセチルコリンの結合部位および4個の膜貫通ドメインを含んだ,大きなN-末端細胞外ドメインを持つ.イエバエにおけるスピノサド抵抗性は劣性形質であり,共力剤は有効ではないことから作用部位の変異によるものと考えられる.抵抗性は第一染色体上にマップされ,この染色体上にはショウジョウバエとイエバエとの比較からnAChRの3個のサブユニット遺伝子が存在する.しかし,この3つのサブユニット遺伝子をスピノサドに感受性と抵抗性のイエバエで比較しても,差は見られない.抵抗性のメカニズム解明に向けた研究が引きつづき必要である.(文責:編集事務局)


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