日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文33巻4号

Environmental fate and properties of pyriproxyfen
ピロプロキシフェンの環境運命および物性


Jonathan J. Sullivan, Kean S. Goh

日本農薬学会誌 33, 339-350 (2008) [抄録/PDF]

ピロプロキシフェン(PXF)はイエバエ,カおよびゴキブリのような広い範囲の衛生害虫に対して殺虫活性を示す昆虫成育制御剤(IGR)である.農学および園芸学においては,カイガラムシ,コナジラミ,アブラムシおよびハリアリの防除用としての使用が登録されており,特に発展途上国で広く使用されている.PXFは昆虫幼若ホルモン様の作用を持ち,脱皮を阻害しその結果として繁殖を阻害する.IGRの作用は昆虫に特異的で,哺乳動物に対して非常に低毒性である.U.S. EPAはPXFを低リスク有機リン剤代替殺虫剤として認めており,また世界保健機関は飲料水に処理できるカ防除用殺虫剤として唯一PXFを承認している.しかし最近では環境中の残留性や非標的生物に対する毒性が注目され議論されている.このような背景で,PXFに関して入手可能な科学文献および開発試験で得られたデータに基づいて,その環境運命および物理化学的性質を概観し論評しておくことが必要である.本論文では情報を必要とする研究者,環境科学者および農業専門家のために,PXFについての環境中の運命および物性を要約する. (文責 編集事務局)


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