日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文33巻4号

ELISA法による茶葉中のクロロタロニルの残留分析

畠山えり子,梶田弘子,菅原隆志,高橋 悟

日本農薬学会誌 33, 387-392 (2008) [PDF]

ELISA法に基づく市販のクロロタロニルキットを用い,茶葉中のクロロタロニル迅速分析法を検討した.クロロタロニルキットでは,茶の成分による妨害が顕著であったため,精製方法について検討した結果,茶葉のメタノール抽出液あるいは熱湯抽出液1mlをOasis HLB(60mg)ミニカラムに負荷し,80%メタノール2mlを用いて洗浄したのちメタノール2mlで溶出する方法を確立した.本ミニカラムにより除去した主要な成分はカテキン類で,クロロタロニルキットによる測定での妨害の原因物質であることが実験から示唆された.本条件を用いて添加回収試験を行った結果,平均回収率86〜113%,変動係数おおむね10%以下であった.また,GC/MS法との相関性試験においても,相関係数0.99,傾きもおおむね1に近い良好な結果が得られ,ELISA法においてもGC法と同等の測定が可能になった.本法を用いた場合の精製に要する時間は10検体で30分程度とGC/MS法での前処理時間10時間に比べて極めて迅速であった.これらの結果から,本法は,茶葉中のクロロタロニル残留迅速分析法として有用であると考えられる.


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