日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文35巻1号

Inhibition of electrophysiological response to the pheromone of the fall armyworm, Spodoptera frugiperda
ヨトウガの一種Spodoptera frugiperdaのフェロモンに対する電気生理学的応答の抑制


Celia Patricia Perez Luis, Angel Guerrero, Edi A. Malo

日本農薬学会誌 35, 23-26 (2010) [抄録/PDF]

ヨトウガ(fall armyworm, FAW)の一種であるSpodoptera frugiperda(Lepidoptera: Noctuidae)を制御する新手法を探るため,我々は3-オクチルチオ-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オン(3-octylthio-1,1,1-trifluoropropan-2-one, OTFP)によるフェロモンに対する電気生理学的応答(EGA応答)の抑制を検討した.トリフルオロメチルケトン類の一種として,OTFPはセリンエステラーゼ,特に昆虫触角のセリンエステラーゼの強力なインヒビターである.触角レセプターをOTFPの蒸気に曝すことによって,フェロモンに対するEGA反応の強度および再分極に要する総時間の2/3の値(2/3 RT)はともに低下した.このOTFPによる低下効果は可逆的で,OTFP処理を解除することによって,EGA反応の強度および再分極時間はともに回復した.非フッ素化類縁体3-オクチルチオプロパン-2-オン(3-octhylthiopropan-2-one, OTP)は,フェロモンに対するEGA反応の強度にも2/3 RTにも影響が無く,この種の化合物におけるフッ素原子の重要性を示唆した.本研究の結果は,将来に向けてFAW制御におけるOTFPの応用に結び付くであろう. (文責:編集事務局)


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