日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文35巻1号

カラムリーチング試験において農薬が浸透水中へ溶出した場合の浸透距離の換算方法の検討

渡辺高志,岩船 敬,山下幸夫

日本農薬学会誌 35, 43-51 (2010) [抄録(英文)/PDF]

OECDは2004年に化学物質の地下移行性を評価するためのテストガイドラインとして「土壌カラム中のリーチング」を策定した.OECD法は,土壌を深さ30cmに充填し,被験物質を土壌表層に添加した後,降水量200mm相当の塩化カルシウム水溶液を2日間かけて流し,被験物質の浸透距離を測定するものである.OECD法では,浸透距離は被験物質が全体の0.5%以上検出された最深の画分と定義されているため,浸透距離は土壌の分画単位で求められる.そこで,土壌や浸透水中での分布を考慮した補正浸透距離を求める方法を開発した.しかし,被験物質が浸透水中に流出した場合は浸透距離を求めることはできないので,土壌層に含まれる水分量と浸透水量の間に定量的な関係があると仮定し,浸透水への流出位置から浸透距離に推定する方法を検討した.土壌層の深さを変えた試験を実施して推定方法の妥当性を検証した結果,一部の土壌を除き推定浸透距離は補正浸透距離と一致した.


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