Unexpected plant-systemic insecticidal properties of alkylene-tethered bis-imidacloprid derivatives
アルキレン架橋ビスイミダクロプリド誘導体の植物浸透移行による殺虫活性

Masaru Mori, Mami Kikuchi, Ikuya Ohno, Shinzo Kagabu
森　勝，菊池真美，大野育也，利部伸三

日本農薬学会誌 35, 124-130 (2010) [抄録/PDF]

アルキレン架橋ビスイミダクロプリド誘導体（Bis-IMI）の，シャーレ試験，葉面散布，イネ幼苗浸漬処理及び浸透移行性実験条件における殺虫活性を求めた．シャーレ試験におけるモモアカアブラムシに対する殺虫活性は架橋の長さによって変動し，ヘプタ（C7）およびオクタメチレン（C8）誘導体が最も高く，10 mg l21で高い殺虫活性を示した．同濃度の薬剤をキャベツへ葉面散布し，11日目に放虫し72時間後に観察したところ，ヘキサメチレンC6およびC7誘導体はほぼ完全にモモアカアブラムシを防除した．しかし，同様な条件で，トビイロウンカ（イネ）とコナガ（キャベツ）に対する殺虫試験を行なったところ，両化合物の防除効果は弱かった．一方，イネ幼苗の根部浸漬処理及びキャベツ幼苗への株元灌注処理後，3，7，11日後に放虫し72時間後に調査したところ，C7誘導体はトビイロウンカとモモアカアブラムシに対して，C6誘導体はトビイロウンカに対して高い防除活性を示し，これらの化合物の浸透移行性が確認された． Bis-IMI誘導体は，分子量，LogP値，水素結合受容性原子数および自由回転結合数において，バーチャルスクリーニングシステムによる殺虫性分子のための基準値からはずれている．このような新しい骨格の化合物の殺虫特性は，既存殺虫剤のデータを基にして誘導された判断基準だけでは説明できず，新たな構造因子を含めた考察が必要と思われる．