日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文35巻4号

Effects of cytokinin on production of diterpenoid phytoalexins in rice
イネのジテルペン型ファイトアレキシン生産に対するサイトカイニンの影響


Kwang-Wook Ko, Kazunori Okada, Jinichiro Koga, Yusuke Jikumaru, Hideaki Nojiri, Hisakazu Yamane
高 光旭,岡田憲典,古賀仁一郎,軸丸裕介,野尻秀昭,山根久和


日本農薬学会誌 35, 412-418 (2010) [抄録/PDF]

ファイトアレキシン生産は,病原菌感染に対するイネの代表的な防御応答の一つである.本研究では,イネの主要なジテルペン型ファイトアレキシンであるファイトカサン類とモミラクトン類の生産に対するサイトカイニンの関与を検証するため,ベンジルアデニン(BA)処理後のイネ培養細胞におけるファイトアレキシン生産を調べた.その結果,BA処理により各種ファイトアレキシンの生産誘導,およびその生合成酵素遺伝子群の発現誘導が観察された.またイネ植物体を用いた場合でも同様の結果が得られた.イネいもち病菌が感染したイネにおいてはサイトカイニンの集積量が増加していくことが示されていることを考え合わせると以上の結果は,ファイトアレキシン生産誘導に至るシグナル伝達系において,サイトカイニンがシグナル分子として機能している可能性を示唆するものと考えられる.


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