日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文36巻2号

Retention and elimination of cumyluron by the brackish water bivalve Corbicula japonica
汽水域に生息するヤマトシジミにおけるクミルロンの保持と排泄


Minoru Masuda, Maiko Kameshiro, Kiyoshi Sato
増田 稔,亀代麻衣子,佐藤 清


日本農薬学会誌 36, 229-234 (2011) [抄録/PDF]

シジミは汽水域に棲息しており,河川に流出した農薬の暴露を受け得る.そこで汽水中でのヤマトシジミにおけるクミルロンの保持と排泄に関する調査を実施した.取り込まれたクミルロンの大部分は数日以内に速やかに体外に排泄され,DT50は0.55日,DTM90は約16日,BCFSSは30と算出された.一般に水棲生物への化学物質の濃縮性は疎水性と正の相関があるため,クミルロンの濃縮性は低く速やかに排泄されることが予想されたが,シジミ中に取り込まれたクミルロンの一部は長期間保持され,排泄42日でも各組織中で約0.01ppmと検出可能なレベルが残留していた.また,第1相の代謝活性が弱く取り込まれたクミルロンの大部分は親化合物のまま排泄されることがわかった.親化合物以外では第1相反応による代謝物が微量検出されたが,その他代謝物は検出されなかった.この代謝活性の弱さが,低濃度での長期間の体内保持の一因であることが示唆された.


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