日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文36巻2号

A method for monitoring the sensitivity of Botrytis cinerea to pyribencarb
ピリベンカルブの灰色かび病菌に対する感受性検定法


Makiichi Takagaki, Satoshi Kataoka, Kenichi Kida, Koichiro Kaku, Tsutomu Shimizu
高垣真喜一,片岡 智,貴田健一, 角 康一郎,清水 力


日本農薬学会誌 36, 255-259 (2011) [抄録/PDF]

ピリベンカルブは幅広い防除スペクトラムを有する新規ベンジルカーバメート系殺菌剤であり,特に灰色かび病に高い防除効果を発揮する.本剤の作用点は,呼吸鎖電子伝達系チトクロームbのQoサイトである.QoI剤に耐性を示す灰色かび病菌のチトクロームbに対するピリベンカルブの阻害活性は,既存のQoI剤より明らかに強い.本報では,QoI剤感受性,耐性灰色かび病菌のピリベンカルブに対する感受性検定法について検討した.その結果,サリチルヒドロキサム酸(SHAM)を1 mM添加したPDA培地での抗菌力試験において,QoI剤感受性菌の本剤に対する感受性ベースラインはMIC 1ppmであった.一方,QoI剤耐性菌に対しては,アゾキシストロビン100ppmの菌糸生育阻害率が41.5%以下であったのに対し,ピリベンカルブ100ppmは80%以上であった.さらに,本剤はこれらのQoI剤耐性菌に対し,ポット試験においても実用濃度で十分な防除効果を示した.以上より,PDA培地(SHAM 1mM添加)での抗菌力試験でMIC 1ppmの菌株は感受性,MICが1 ppmで得られず100ppmでの菌糸生育阻害率が80%以上の菌株は弱耐性,80%未満の菌株については生物検定により感受性を判断することとした.


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