日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文36巻3号

Action mechanism of a novel herbicide, fenoxasulfone
新規除草剤フェノキサスルホンの作用機構


Yoshitaka Tanetani, Tomonori Fujioka, Junko Horita, Koichiro Kaku, Tsutomu Shimizu
種谷良貴,藤岡智則,堀田順子,角 康一郎,清水 力


日本農薬学会誌 36, 357-362 (2011) [抄録/PDF]

本報では,フェノキサスルホンの超長鎖脂肪酸の生合成に及ぼす影響を調べることで,本除草剤の作用機構を解析した.フェノキサスルホン処理した食用ビエ培養細胞では炭素数20, 22, 24, 26の超長鎖脂肪酸が大幅に減少する一方で,前駆体となる中鎖および長鎖脂肪酸が蓄積しており,中でも炭素数15の飽和脂肪酸の蓄積が最も顕著であった.また,フェノキサスルホンは,黄化食用ビエ茎葉の超長鎖脂肪酸伸長酵素(VLCFAE)活性を低濃度で阻害した.これらの結果から,フェノキサスルホンはHRACにおいてK3グループに分類されるVLCFAEを作用点とする除草剤であることが示唆された.シロイヌナズナFAE1のVLCFAE活性に対するフェノキサスルホンの阻害は,酵素と薬剤のプレインキュベーション時間に依存しており,その阻害様式は既に報告されているK3除草剤と同じであった.一方,黄化食用ビエ茎葉のVLCFAE活性に対するフェノキサスルホンの阻害は,酵素と薬剤のプレインキュベーション時間に依存しなかったことから,この阻害様式は本剤と類似した化学構造をもつピロキサスルホンと同様にVLCFAEの新しい阻害機構を示唆するものである.


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