日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文36巻3号

Effect of carbendazim-8-oxyquinoline-copper, a novel chelate fungicide against Fusarium graminearum
Fusarium graminearumに対する新規キレート殺菌剤カルベンダジム−8-オキシキノリン−銅の効果


Wen-Yuan Yu, Lei-Gang Zhang, Jian-Bo Qiu, Jian-Xin Wang, Chang-Jun Chen, Ming-guo Zhou

日本農薬学会誌 36, 385-391 (2011) [抄録/PDF]

カルベンダジム(MBC)とオキシン-銅(BHC)のキレート化合物であるカルベンダジム−8-オキシキノリン−銅(BCOC)の効果を,MBCおよびBHCと比較したところ,インビトロでのFusarium graminearumのMBC耐性株に対する抑制効果では,MBCやBHC,またそれらの混合物より強く,MBC高度耐性株に対するBCOCの最小抑制濃度は,MBCの10倍も低い値であった.発芽管のあらわれ方は,BCOC処理とMBC処理で類似していた.BCOCのEC50は,2010年に採集された124野生株に対しては1.29±60.61µg/mLであり,2000〜2010年に採集された127耐性株に対しては,3.23±60.41µg/mLであった.圃場において,感受性株や抵抗性株を人工的に接種させた場合,BCOCはムギ赤かび病に対し優れた予防および治療効果を示した.BCOCの高い効果は,8-オキシキノリン−銅が分子構造を変化させ,それによってBCOC中のカルベンダジムのラジカルと,F. graminearum中のβ2-チューブリンタンパク質との間の相互作用を促進するためと思われる. (文責:編集事務局)


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