日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文37巻1号

Mode of action of Talaromyces sp. KNB422, a biocontrol agent against rice seedling diseases
イネ育苗時病害に対して防除効果を有するKNB422菌の作用機構


Taiji Miyake, Akihiro Kato, Hideaki Tateishi, Tohru Teraoka, Tsutomu Arie
三宅泰司,加藤亮宏,竪石秀明,寺岡 徹,有江 力


日本農薬学会誌 37, 56-61 (2012) [抄録/PDF]

KNB422菌はイネ苗より分離されたタラロマイセス属に属する糸状菌であり,イネ育苗時に発生する種子伝染性病害と土壌伝染性病害に対して高い防除能を有する.本論文では,KNB422菌の作用機構を検討することを目的とした.PDA培地上でKNB422菌とリゾプス菌,ピシウム菌,ばか苗病菌を共培養した結果,KNB422菌は病原菌が増殖した領域でも生育域を拡大する様子が観察された.さらにSEMと蛍光顕微鏡では,KNB422菌がリゾプス菌,ピシウム菌,ばか苗病菌の菌糸にまとわりつき,病原菌の菌糸内部に侵入し,これらの病原菌を溶菌させる様子が観察された.このようにKNB422菌はリゾプス菌,ピシウム菌,ばか苗病菌に菌寄生し,溶菌させることで病原菌を死滅させることができると考えられた.


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