日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文37巻2号

Search of components causing matrix effects on GC/MS for pesticide analysis in food
GC/MSにおけるマトリックス効果原因物質の探索およびその検証


Kuniyo Sugitate, Sadao Nakamura, Norimichi Orikata, Kazushi Mizukoshi, Munetomo Nakamura, Akira Toriba, Kazuichi Hayakawa
杉立久仁代,中村貞夫,折方紀道,水越一史,中村宗知,鳥羽陽,早川和一


日本農薬学会誌 37, 156-163 (2012) [抄録/PDF]

GC/MSを用いた残留農薬分析の問題点としてマトリックス効果と呼ばれる現象がある.厚生労働省の通知法「GC/MSによる農薬等の一斉試験法(農作物)」に準じて抽出・精製した作物(馬鈴薯,ほうれん草,オレンジ,玄米,大豆)を用いてマトリックス効果を調べたところ,すべての作物でマトリックス効果が見られた.そこで,測定検液中にどんなマトリックス成分が含まれているかを調べた.マトリックス成分の探索には.メタボロミクスの手法を適用し,誘導体化して測定を行った.その結果,いくつか高濃度に含まれる代表的なマトリックス成分(モノアシルグリセロール類,トコフェロール類,ステロール類など)が検出された.これらの代表的成分の標準品を購入し,実際にマトリックス効果が起きるかを検証した結果,マトリックス成分として最も多く含まれていたモノアシルグリセロール類が,顕著なマトリックス効果の原因となっていることを突き止めた.


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