日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan

Effects of a brassinosteroid and an ecdysone analogue on pollen germination of rice under heat stress
熱ストレスを受けたイネ花粉の発芽に及ぼすブラシノステロイドとエクジステロイドの効果


Jutiporn Thussagunpanit, Kanapol Jutamanee, Lily Kaveeta, Witith Chai-arree, Porn Pankean, Apichart Suksamrarn


Journal of Pesticide Science 38, 105-111 (2013) [抄録/PDF]

高温ストレスはイネ花粉の発芽率や結実度合いの低下を引き起こす.ブラシノステロイドは,植物の生長と発達を阻害するストレスに対して対抗作用を示すことが報告されている.我々は,イネ(品種Pathum ani)花粉の生命力への高温ストレスに対するブラシノステロイド(24-エピブラシノライド,EBR)とエクジソン類縁体(7,8-ジヒドロ-8α-20-ヒドロキシエクダイソン,DHECD)の効果を調べた.イネ植物をEBRあるいはDHECDで処理後,昼40℃,夜30℃の高温ストレス条件で7日間育成した.その結果,これらの 化合物は0.001µMで,花粉の生存率の上昇と花粉の破裂の減少に有効であった.さらに,これらの化合物の処理により,インビボにおける花粉発芽や結実に対する熱ストレス耐性が付与されることもわかった.以上の結果から,EBRとDHECDは,花粉発芽と結実の改善によって高温ストレスによる悪影響を緩和し,イネが高温ストレスに耐えられるようにすることが示唆された.(文責:編集事務局)


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