日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan

A comparison of the modes of action of novel meta-diamide insecticides and conventional noncompetitive antagonists on the Spodoptera litura RDL GABA receptor
新規メタジアミド殺虫化合物と一般的な非競合的アンタゴニストのハスモンヨトウRDL GABA受容体に対する作用機作の比較


Toshifumi Nakao, Kangetsu Hirase
中尾 俊史, 平瀬 寒月


Journal of Pesticide Science 38, 123-128 (2013) [抄録/PDF]

新規メタジアミド化合物である3-ベンズアミド-N-[4-(ペルフルオロプロパン-2-イル)フェニル]ベンズアミド誘導体は,ハスモンヨトウ幼虫に対し高い殺虫作用を示すRDL GABA受容体の新規アンタゴニストである.ハスモンヨトウの遺伝子型を調べた結果,2'の位置がSerであるGABA受容体RDLサブユニット(SL-RDL)遺伝子を発現するハスモンヨトウが日本の野外で広範囲で観察された.そこで我々は,膜電位アッセイを用いてSL-RDLホモマーに対するメタジアミド化合物の作用機作を調べた.フィプロニルと-エンドスルファンではS2'N変異とT6'V変異により阻害活性に多大な影響が認められたが,メタジアミド化合物ではS2'N変異とT6'V変異による阻害活性の影響は認められなかった.これに対して,G319M変異でメタジアミド化合物の活性は喪失したが,G319M変異によるフィプロニルとα-エンドスルファンの阻害活性への影響は小さいものであった.これらの結果は,メタジアミド化合物の作用部位は一般的な非競合的アンタゴニストの作用部位とは異なり,SL-RDLホモマーの膜貫通領域3に位置するG319の近傍に作用することを示 唆している.


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