日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan

Role of metabolism in the selectivity of a herbicide, pyroxasulfone, between wheat and rigid ryegrass seedlings
除草剤ピロキサスルホンのコムギおよびボウムギ幼苗間の択性に関わる代謝の役割


Yoshitaka Tanetani, Mitsumasa Ikeda, Koichiro Kaku, Tsutomu Shimizu, Hiroshi Matsumoto
種谷 良貴, 池田 光政, 角 康一郎, 清水 力, 松本 宏


Journal of Pesticide Science 38, 152-156 (2013) [抄録/PDF]

ピロキサスルホンは植物の超長鎖脂肪酸伸長酵素(VLCFAE)を作用点とする新規除草剤であり,本剤の作物雑草間の選択性要因の一つとして,VLCFAEの感受性の違いが示唆されている.本報では,14C標識したピロキサスルホンを用いてコムギ(耐性作物)およびボウムギ(対象雑草)幼苗での代謝試験を行い,代謝の違いを調べた.両植物体での主要代謝物はイソキサゾリン環のシステイン抱合体(M-26),M-26の脱アミノ体(M-29)およびM-29のグルコース抱合体(M-29-glc)であり,ピロキサスルホンの代謝経路はイソキサゾリン環のグルタチオン抱合化によるメチレンスルフォニル結合の開裂であると考えられた.コムギでのピロキサスルホンの割合はボウムギの約半分であり,一方,主要代謝物の割合はコムギで高かった.これらの結果から,本剤のコムギと雑草間の選択性要因としてすでに示唆されているVLCFAEの感受性の違いとともにグルタチオン抱合活性の違いもその要因の一つとして推察された.


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