日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文33巻2号

Excess water storage depth -a water management practice to control simetryn and thiobencarb runoff from paddy fields
田面水余剰貯留水深−水田からのシメトリンとチオベンカルブの流出制御のための水管理方法


Thai Khanh Phong, Hirozumi Watanabe, Thai Quoc Hien, Son Hong Vu, Taku Tanaka, Dang Thi Tuyet Nhung, Takashi Motobayashi
Thai Khanh Phong,渡邊裕純,Thai Quoc Hien,Son Hong Vu,田中 拓,Dang Thi Tuyet Nhung,本林 隆


日本農薬学会誌 33, 159-165 (2008) [抄録/PDF]

田面水の排水口からの越流を制御するために,降雨時に田面水を貯留する,田面水余剰貯留水深(EWSD)を確保することは農薬流出抑制に有効な圃場管理である.田面水余剰貯留水深の農薬流出抑制への有効性を詳細に検証するため,最低田面水余剰貯留水深が2 cm(P1プロット)と0 cm(P2プロット)の場合を設定し,それぞれにおける水稲用除草剤シメトリンとチオベンカルブの動態を解析し,薬剤の流亡を比較した.P1プロットでは,降雨に伴う田面水の越流排水は,4 cm以上の非常に大きな降雨以外ほとんど見られなかったが,P2プロットでは,小さな降雨でも頻繁に越流排水が起こった.P1と P2プロットからの降雨に伴う除草剤の流出は,越流排水量が少ないP1プロットではシメトリンが散布量の0.7%,チオベンカルブが0.1%であったが,P2プロットでは,シメトリンが散布量の18.1%,チオベンカルブが3.7%であった.積算農薬流出量は田面水余剰貯留水深の増加とともに指数的に減少していき,田面水余剰貯留水深の農薬流出抑制への有効性が検証された.


Back