日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文34巻4号

Multi-residue screening method of acidic pesticides in agricultural products by liquid chromatography/time of flight mass spectrometry
LC/TOF-MSを用いた農産物中の酸性農薬等の多成分スクリーニング分析法


Yumi Akiyama, Tomofumi Matsuoka, Takao Mitsuhashi
秋山由美,松岡智郁,三橋隆夫


日本農薬学会誌 34, 265-272 (2009) [抄録/PDF/電子付録]

LC/TOF-MSを用いて,農産物中に残留する酸性農薬等95種を迅速にスクリーニング分析する方法を開発した.酸性農薬等は,GC/MS分析において妨害となる脂肪酸を除去するために用いられるPSAに吸着するため,多成分一斉分析法の対象に加えることができなかった.そこで,多成分分析法において,PSA精製前の抽出液の一部を分取し,溶媒置換したものをLC/TOF-MSで測定した.精密質量を測定することにより,分子イオンおよびフラグメントイオンを共存成分から分離し,選択的に検出することができた.6種類の農産物について,添加濃度0.1 mg/gで回収実験を行った結果,平均回収率は49-127%,RSDは20%未満であり,定量限界値は0.01-0.02 mg/gであった.農産物140検体のモニタリング検査に本法を適用したところ,2,4-Dがレモンおよびオレンジから,フルアジホップが未成熟いんげんから,ジクロルプロップがりんごから,それぞれ0.02-0.03 mg/gで検出されたが,いずれも基準値未満であった.本分析法は,農薬520種を対象とした既存の多成分一斉分析法と組み合わせて,酸性農薬等95種に対しても,高感度かつ迅速なスクリーニング分析を可能にした.


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