日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文35巻3号

Environmental applications of earthworm esterases in the agroecosystem
農業生態系におけるミミズエステラーゼの応用


Juan C. Sanchez-Hernandez

日本農薬学会誌 35, 290-301 (2010) [抄録/PDF]

害虫防除において,生物的防除をベースにした対策も取り入れられているが,化学的防除は依然として欠かすことのできない方法である.多くの研究では,天敵やそのほかの非標的生物の生態に対する殺虫剤の副作用が指摘されてきた.さらに,殺虫剤で汚染された土壌は二次的汚染源として公衆衛生(水源)の環境を汚染する恐れがある.これらの環境リスクについての評価やモニタリングは,登録農薬の管理政策の制定に必要であって,ミミズエステラーゼはこのような農薬の規制や環境保全のために応用できると思われる.ここでは,ミミズエステラーゼがバイオマーカーとして野外毒性テストに使用できる可能性を論じ,さらに,農薬毒性の調節の役割を担う消化管カルボキシルエステラーゼ(CEs)の役割が,農薬に対するミミズの自然耐性への寄与,毒性テストに適切なミミズ種の選択の観点から議論される.また,CEs の活性を利用した農薬汚染土壌の酵素バイオレメディエーションは環境にやさしい方法であると考える.(文責:編集事務局)


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