日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文36巻2号

Proneonicotinoid
プロネオニコチノイド


Shinzo Kagabu
利部伸三


日本農薬学会誌 36, 205-211 (2011) [抄録/PDF]

プロドラッグはそれ自身生物活性をもたないが,投与された後,生物体内において酵素分解により活性なリード化合物を放出する物質であり,リード活性化合物の欠点を修正するために設計されている.本稿はネオニコチノイド系殺虫剤における分子設計をプロドラッグの観点から論じる.クロチアニジン分子のオキサジアジン修飾によるチアメトキサムの創製は,アセタール型プロドラッグの加水分解を応用した成功例である.一方,イミダクロプリドに脂溶性をもたせる目的で設計されたN-アルキル置換体はP450酸化を受けイミダクロプリドを再生することが報告されている.また,ニトロメチレン系ネオニコチノイドの光安定性の向上を意図して,マンニッヒ塩基も創製されている.さらに,クラウンエーテル修飾により,親化合物に両親媒性を付与する試みもなされている.このようなプロドラッグによるリード化合物の修飾設計は,ネオニコチノイド系殺虫剤の新たな展開を起こす方法になることが期待される.


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