日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan

Substrate recognition by P-glycoprotein efflux transporters: Structure-ATPase activity relationship of diverse chemicals and agrochemicals
薬物排出に関わるP-糖タンパク質の基質認識機構:さまざまな化学物質および農薬の構造とATPase活性との関係


Satoshi Kanaoka, Yasuhisa Kimura, Masaaki Fujikawa, Yoshiaki Nakagawa, Kazumitsu Ueda, Miki Akamatsu
金岡 怜志, 木村 泰久, 藤川 真章, 中川 好秋, 植田 和光, 赤松 美紀


Journal of Pesticide Science 38, 112-122 (2013) [抄録/PDF]

我々は有害物質を含む環境中のさまざまな化学物質に曝露されているが,我々の体は有害物質を代謝無毒化あるいは体外に排出することにより,その悪影響を軽減している.排出系の中で最も有名なものがABCトランスポーターの1種,P-糖タンパク質(P-gp)であり,ヒトの小腸や肝臓,血液脳関門などに発現している.本研究では,農薬などのさまざまな化学物質がP-gpの基質になりうるかどうかを,ATPase活性を指標として検討した.スクリーニングの結果,ジベンゾイルヒドラジン型殺虫剤,有機リン剤などがATPase活性を 高めることが明らかとなった.そこで,さまざまなジベンゾイルヒドラジン誘導体について活性を測定し,CoMFAによるQSAR解析を行った.また,P-gpのモデリング,作成したモデルに対するメトキシフェノジドのドッキングを行い,P-gpが基質を認識する際に必要となる構造要因について考察した.


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