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Biological activity and disease controlling efficacy of penthiopyrad 殺菌剤として最適な化合物を見出すために,多くのカルボキサミド系化合物誘導体を合成し,in vitroおよびin vivoでの評価試験を実施した.疎水性側鎖アルキル基を有するチオフェン環の導入により,広スペクトラムな殺菌活性を有する化合物を見出し,最終的にはペンチオピラド,N-[2-(1,3-dimethylbutyl)-3-thienyl]-1-methyl-3-(trifluoromethyl)-1Hpyrazole-4-carboxamideを選抜した.ペンチオピラドは広い殺菌スペクトラムを有するユニークな化合物である.カルボキサミド殺菌剤の一つであるカルボキシンは担子菌類に活性を有し,麦類の黒穂病防除に特に高い効果を有するが,他の種類の病害に対する効果は低い.一方,カルボキサミド系薬剤の一つであるボスカリドの出現は灰色かび病等,従来のカルボキサミド系薬剤の効果がなかった病害に高い効果を有する点で新しい発見であったが,従来のカルボキサミド系薬剤の効果が高い担子菌類に効果が低いという大きなスペクトラムのシフトを伴った.ペンチオピラドはこれらカルボキシンとボスカリドのスペクトラムを合わせたような広い殺菌スペクトラムを有するところが特徴である.この報告では,抗菌試験やポット試験の基礎試験で明らかになったペンチオピラドの生物活性を中心にその特徴を報告した. |