日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan

Mode of action of novel acaricide pyflubumide: Effects on the mitochondrial respiratory chain
新規殺ダニ剤ピフルブミドの作用機構:ミトコンドリア呼吸鎖に対する影響


Motofumi Nakano, Noriaki Yasokawa, Akiyuki Suwa, Shinsuke Fujioka, Takashi Furuya, Kazuyuki Sakata
中野 元文、八十川 伯朗、諏訪 明之、藤岡 伸祐、古谷 敬、坂田 和之


Journal of Pesticide Science 40, 19-24 (2015) [抄録/PDF]

ピフルブミドは日本農薬(株)で開発中の新規殺ダニ剤であり,本研究はその作用機構の解明を目的とした.コハク酸脱水素酵素阻害剤(SDHI殺菌剤)との化学構造の類似性から,ハダニミトコンドリア複合体IIにおける電子伝達阻害活性を検討した.その結果,ピフルブミドの阻害活性は低かったが,その脱アシル体であるNH体はハダニミトコンドリア複合体IIに対し高い阻害活性を示した.また,ピフルブミドはハダニホモジネートにより速やかにNH体へと代謝された.これらの結果からピフルブミドはプロドラッグであり,NH体が活性本体と考えられた.ハダニ剤であるシエノピラフェンのOH体はピフルブミドNH体と同様,複合体Uを阻害するが,両化合物を用いた二重阻害剤滴定曲線解析の結果は,両化合物の結合サイト(もしくは結合様式)は明らかに異なることを示唆し,ピフルブミドとシエノピラフェンは作用機構上,別のグループに属すると考えられた.


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