シモキサニルの毒性試験の概要
日本農薬学会誌
24, 83-87 (1999)
シモキサニルについて,各種毒性試験を実施し,安全性を評価した.その結果,ウサギを用いた皮膚刺激性試験において,弱い刺激性が認められたのみで,経口,経皮毒性も低く,急性中毒の発現を示唆する有意な症状も認められず普通物に該当した.
亜急性毒性,慢性毒性および発がん性試験では,いずれの動物種でも催腫瘍性は認められなかった.
繁殖試験では体重減少等が認められたのみで,繁殖性に対する影響は認められなかった.
催奇形性試験では胎仔に対して催奇形性を及ぽさないと判断された.
変異原性については,遺伝子突然変異原性は陰性であった.DNA修復性および染色体異常誘発性は,in vitroにおける試験では陽性であったが,in vivoにおける試験は陰性であつた.
薬理試験では高用量で唾眠延長,痙攣誘発作用,腸管輸送能の抑制および血液凝固(プロトロンビン)時間の軽度の遅延作用が認められた.
シモキサニルは,その使用方法および一般的注意事項を遵守すれば,環境および作業者への安全性の高い薬剤である.