日本農薬学会 Pesticide Science Society of Japan
HOME学会誌掲載論文24巻2号

殺虫剤アセタミプリドの作物及び土壌における残留実態

時枝正則,小澤道弘,小林 茂,五明 健,武田明治

日本農薬学会誌 24, 115-122 (1999)

殺虫剤アセタミプリド(ATP)の作物及び土壌における残留実態を検討するに先立ってATPのみを分析対象とする親分析法と代謝物(分解物)をも分析対象とした総量分析法を作成し,両分析法を用いて作物及び土壌残留分析を実施した.その結果,水溶剤処理した作物においては,両分析法による残留値に顕著な差は認められず,残留している化合物は大部分ATPであることが判った.従って,残留実態を調べるには親分析法で十分であることが考えられた.粒剤処理した作物では,収穫2か月以上前の処理では,ATP及び代謝物の残留量は検出下限レベルか検出下限以下と考えられた.他方,土壌におけるATPは容器内,圃場共にその半減期は1〜2日と極めて短く,更に分解物をも含めた半減期は15〜30日程度とすみやかであった.容器内及び圃場の残留分析結果に大差がないこと,好気土壌代謝試験結果からの炭酸ガス発生量から併せて考察すると,ATP及び分解物の消長は主に微生物によるものと考えられた.また,圃場におけるATP及び分解物の溶脱は小さいと考えられた.


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